ダブルクロス3rd入門用シナリオ『Beginning days』 書いた人:「」2 概要:上級の冒頭コミックを眺めつつコンビでエモいやりとりしながら遊べればいいなあと考えて書いた入門用シナリオです。    PC1を初プレイの人、PC2をダブクロ布教したいベテランの人にすると先輩後輩的な感じになるんじゃないかと思います。    クランブルデイズ改変のシンプルなシナリオですので初GMの練習用としてもご活用下さい。 その他:シナリオの改変は自由にやっていただいてOKです。 =================================================================================================================================== †プリプレイ† 1.使用するルルブ ・ルールブック1&2 2.レギュレーション ・使用経験値は130点(初期作成) 3.ステージ  通常/東京近郊N市 4.サンプルキャラ ◆PC1  ブリード:ピュアブリード シンドローム:キュマイラ  カヴァー:高校生     ワークス:高校生  肉体:8 <白兵>4,<回避>2 感覚:1 <知覚>1  精神:1 <RC>2  社会:2 <情報:噂話>1  HP:37 行動値:3 常備化:4 財産:3  武器         防具         アイテム ・破壊の爪      ・なし        ・コネ:噂好きの友人   取得エフェクト  《コンセントレイト:キュマイラ》2,《獣の力》2,《破壊の爪》1,《ハンティングスタイル》1,《フルパワーアタック》2 ◆PC2  ブリード:クロスブリード シンドローム:エンジェルハイロゥ/モルフェウス  カヴァー:高校生     ワークス:UGNチルドレンB  肉体:1 <回避>1 感覚:8 <射撃>4,<知覚>1  精神:1 <RC>1  社会:2 <調達>2,<情報:UGN>1  HP:23 行動値:17 常備化:8 財産:6    武器         防具         アイテム ・ハンドレットガンズ ・強化服       ・コネ:UGN幹部          取得エフェクト  《コンセントレイト:エンジェルハイロゥ》2,《小さな塵》2,《ギガンティックモード》1,《ハンドレットガンズ》1,《マスヴィジョン》2 †ストーリー† FHは、心臓の病で死亡した少女、秋月玲央奈の遺体を利用して暗殺用ジャーム"ジャバウォック"を作り上げた。 春日恭二がジャバウォックの実戦テストを行っていたところ、秋月はPC1に好意を抱きαトランス剤で覚醒させてしまう。 一方、ジャバウォックの実戦テストは猟奇殺人事件として世間に知られるところとなり、霧谷雄吾は解決のためPC2を派遣する。 本シナリオは、事件の真相を知ったPC1がジャバウォックを退ける(あるいは彼女と共に生きることを決断する)ことで終了する。 ============================================================================================================================ †セッショントレーラー† 昨日と同じ今日、今日と同じ明日 ずっと続くと思っていた日常は既に変わり果てていた 少年が少女と出会い、物語の歯車が回りだす 力はまどろみの檻から解き放たれ、不都合な真実が暴かれる 怒涛の如く迫り来る無慈悲で過酷な現実 しかし、少年はそれでも前へと一歩を踏み出す ダブルクロス3rd edition『Beginning days』 ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉 †ハンドアウト† 【ハンドアウト:PC1】 シナリオロイス:秋月玲央奈(あきづき・れおな) 推奨感情:尽力/猜疑心 カヴァー/ワークス:高校生/指定なし   同じクラスの秋月玲央奈は不思議な少女だった。数週間前に知り合ったばかりだが、 下校の時はいつも彼女が待っていて他愛のない話をしながら帰るのが習慣になっていた。 そんなある日、彼女と別れて家路を急いでいたキミは見たこともない怪物と遭遇した。 怪物がキミを鋭い爪で切り裂いた時、キミの中に眠っていた力が覚醒した。 【ハンドアウト:PC2】 シナリオロイス:"ジャバウォック" 推奨感情:執着/脅威 カヴァー/ワークス:高校生/UGNチルドレン  N市で頻発する猟奇殺人事件。キミはその実行犯であるジャームの行方を追っていた。 ジャームは時間と空間を操り、犠牲者の前に突然現れて猛獣の如き爪で切り裂くそうだ。 手掛かりも少なく調査が難航する中で、キミは街中で《ワーディング》の展開を察した。 急ぎ反応があった方へ向かうと、1体のジャームとその前に倒れた少年の姿があった。 †オープニングフェイズ† ◆シーン1:始まりは前触れもなく シーンプレイヤー:PC1 [解説] PC1が非日常の世界に足を踏み入れるシーン。このシーンではまだPC1は覚醒しておらず、 自身がオーヴァードであるという自覚もない。そのため登場しても侵蝕率は上昇しない。 いつものように授業が終わり、PC1が校門を出たところで秋月玲央奈に声をかけられる。 しばらく会話しながら下校して彼女と別れた後、PC1はジャバウォックに襲われる。 [描写] いつもの授業、いつもの放課後。教科書をカバンに詰めて校門を出ると彼女が待っていた。 同じクラスの秋月玲央奈。決して親しい間柄ではないが下校時に決まって現れる不思議な奴だ。 いつものように後ろから駆け寄ってきてキミの隣に並んで歩き始める。 [セリフ] 秋月玲央奈「今日は昨日より5分早いタイムで校門通過だよ」 秋月玲央奈「……こうやって一緒に帰るのも当たり前になってきたね」 秋月玲央奈「今更かもしれないんだけど、キミに興味があるって言ったら信じる?」 (信じる)秋月玲央奈「ふふん、そうだよね。意外と脈アリって感じかな?」 (信じない)秋月玲央奈「おやおや?露骨かなと思ってたけどアピール弱かったかな?」 秋月玲央奈「……それならよし、例のプランを実行に移しちゃおうかな」 秋月玲央奈「ふふ、とっておきのサプライズを用意してるんだ。もちろん中身はナイショだよ」 秋月玲央奈「それじゃ、このあたりでバイバイ」 [描写2] 駆け出して行った彼女の背中を見送った後、キミも家路を急ぐ。 その時だった。 キミは周囲の光景に異変を感じる。建物の輪郭は曲線を描くように歪み、人々の歩みは時が止まったように停止する。 進行方向の地面から黒いもやと共に見たこともない怪物が現れる。 ソイツは嬉しそうに喉を唸らせると鋭い爪を両手に生やしながら恐るべき速さでキミに飛びかかった。 [結末] PC1がジャバウォックに襲われたらシーンを終了する。 ◆シーン2:闇に潜む怪物 シーンプレイヤー:PC2 [解説] 夕暮れ時、PC2はUGNから与えられた任務で市内においてジャバウォックの行方を追っている。 捜索中に《ワーディング》の展開を察知してそちらに向かうと、ジャバウォックとPC1の姿がある。 ジャバウォックは覚醒が始まるPC1の様子を眺めているが、PC2の接近に気づくと闇の中に消えていく。 [描写] キミはUGNから与えられたミッションで神出鬼没のジャーム"ジャバウォック"の行方を追っている。 近頃、N市内では猟奇的な殺人事件が頻発しており、ジャバウォックはその実行犯とみられている。 西の空があかね色に染まり始めたその時だった。下校中の学生達の歩みが急激に遅くなり停止する。 近くで《ワーディング》が展開されたようだ。 急ぎ反応のあった方へ向かうと1体のジャームとその前に倒れた少年の姿があった。 禍々しい黒い毛並みに鋭い爪、こいつがターゲットのジャバウォックに違いない。 [解説2] PC1の覚醒が始まるが意識はない。ジャバウォックはPC2の接近に反応して《瞬間退場》でシーンから退場する。 この場面では様々な演出が考えられる。RPが盛り上がるようPLがやろうとしている流れに沿うこと。 例1 ジャバウォックがPC1の頭を掴み持ち上げたところでPC2から攻撃を受けてひるむ。 例2 ジャバウォックはPC2の接近に反応し、重力を操り鉄骨を飛ばして威嚇する。その隙にPC1が立ち上がり反撃する。 例3 ジャバウォックは無意識のまま攻撃してきたPC1にひるむ。反撃を加えようとしたところでPC2の接近に気づき撤退する。 [セリフ] ジャバウォック「……邪魔」(重力を操り鉄骨を飛ばして) ジャバウォック「……!!」(《瞬間退場》) [結末] PC1が気を失ったところでUGNのメンバーが遅れてやってくる。PC2は車に乗せられPC1と共にUGN傘下の病院へ向かう。 †ミドルフェイズ† 固定イベント ◆シーン3:目覚め シーンプレイヤー:PC1 [解説] PC2も自動的に登場する。 PC1は悪夢にうなされた後、UGN傘下の病院で目を醒ます。ここで衝動判定を行い侵蝕率を+2D10する。 病室にはPC2と霧谷雄吾がいる。霧谷雄吾はPC1に次の3点について話す。 ・PC1はレネゲイドウィルスによってオーヴァードとなったこと ・PC1を襲ったのはN市内で猟奇的な殺人事件を立て続けに起こしているジャバウォックであること ・PC1と一緒に下校していた秋月玲央奈の行方がわからなくなっていること 霧谷はPC1に事件解決の協力を求める。そしてPC2を護衛としてPC1と同じ学校に送る予定だと告げる。 [描写] キミは夢を見た。秋月玲央奈と一緒に歩いている帰り道、背後から1匹の怪物が忍び寄りガブリと彼女を食べてしまう夢を。 夢の中でキミは怪物に飛びかかり、怪物を肉片になるまで切り裂いて殺した。殺した怪物の顔はキミと同じ顔をしていた。 (難易度8の衝動判定を行う。失敗すると暴走するが気持ちが昂るだけで進行に影響はない。成否にかかわらず侵蝕率が+2D10される) キミは跳ね起きた。そこは病室でベッドに寝せられていたようだ。爪で切り裂かれたはずなのに体のどこにも傷は残っていない。 [セリフ] 霧谷雄吾「気がつかれましたかPC1さん。初めまして、私は霧谷雄吾と申します。突然の出来事に戸惑われていることでしょう」 霧谷雄吾「今から少し難しい話をしますが落ち着いて聞いて下さい。これはあなたにとっても重要な話になるはずです」 霧谷雄吾「――20年ほど前、未知のウィルスが世界中に拡散されました。感染者に死か超人的な能力を与えるウィルスです」 霧谷雄吾「このウィルス、通称レネゲイドウィルスによってあなたは人を超えた存在、すなわち、オーヴァードとなりました」 霧谷雄吾「体の傷がどこにも残っていないのもオーヴァードの再生力によるものです。実感が湧いてきたでしょうか」 霧谷雄吾「オーヴァードの持つ能力は極めて強力です。素手で岩を砕いたり、音速の速さで走ったり、光や重力すら操ったりできます」 霧谷雄吾「ところが、その力を悪用し社会を混乱に陥れようと目論むFHという集団がいます。あなたを襲った怪物もそこに関係しています」 霧谷雄吾「近頃、N市内で頻発する猟奇殺人事件について調査を行っていたところ、あの怪物……ジャバウォックの存在が浮かび上がったのです」 霧谷雄吾「ジャバウォックとFHの狙いはわかりませんが、彼等は無意味な殺戮を繰り返しています。一刻も早く止めなければなりません」 霧谷雄吾「あなたは助かりましたが、あなたと一緒に下校していた少女は行方がわからなくなっています。事件に巻き込まれた可能性もあります」 霧谷雄吾「我々UGNはオーヴァードの秘密と人権を守り、社会秩序を維持する活動を行っています。そちらにいるPC2さんもメンバーの一員です」 霧谷雄吾「幸か不幸か、あなたは強力なオーヴァードに覚醒したようです。よろしければ我々に協力していただけませんか?」 (承諾する)霧谷雄吾「ありがとうございます。詳しい話はいずれまた」 (拒否する)霧谷雄吾「今はそれでも構いません。ですが、よからぬ輩が近づいてこないように監視はつけさせていただきます」 霧谷雄吾「あなたの学校に護衛としてPC2さんを派遣します。わからないことがあれば遠慮なく彼(または彼女)に聞いて下さい」 霧谷雄吾「PC2さん、オーヴァードの先輩としてPC1さんの支えになってあげて下さいね」 [結末] PC1は何事もなかったかのように病院を退院する。なお、秋月玲央奈に電話をかけても通話は繋がらない。 ◆シーン4:いつもと違う教室 シーンプレイヤー:PC2 [解説] PC2は護衛のためPC1が通う学校に転校してくる。担任から事件について言及があり、一部のクラスメイトが秋月玲央奈の心配をする。 [描写] キミはUGNの力を借りPC1と同じクラスに編入できた。ホームルームで簡単な挨拶を済ませてからPC1の隣の席に座る。 教室の一番後ろにぽつんとある空席はおそらく秋月玲央奈のものなのだろう。そんな推理を巡らせていると担任が注意を呼び掛ける。 [セリフ] 担任の教師「お前達も知ってるかもしれないが、ここ最近、物騒な事件が起きている。危険な場所には近寄らず登下校もできるだけ誰かと一緒にしてほしい」 [描写2] 休み時間になった。同じクラスの女子2人が秋月の席の方にチラチラと視線を向けながら不安そうに話をしている。 [セリフ2] クラスメイトA「ねえ知ってる?昨日殺人鬼が出たの学校の近くなんだって」 クラスメイトB「聞いた聞いた。SNSで出てる情報だと被害者は10代の女の子だって」 クラスメイトA「玲央奈……来てないけどまさか違うよね?」 [結末] 不穏な空気を漂わせつつも授業は坦々と進み放課後になる。情報収集へ移行する。 †情報収集† 情報収集では次の4つが調査項目となる。必要に応じてシーンを演出すること。 各PCはシーン1つにつき1回の情報収集判定と調達判定を試みることができる。 ・猟奇殺人事件について <情報:UGN>7または<情報:噂話>7  数週間前から起きている事件で犠牲者には数多くのオーヴァードが含まれる。  比較的戦闘能力の高い個体が1対1の状況に持ち込まれ殺害されていることから、  事件はジャバウォックの能力テストである可能性が高い。 ・ジャバウォックについて <情報:UGN>7または<情報:裏社会>7  暗殺の用途に能力を調整されたFHの実験体。既にジャーム化している。  シンドロームはバロール/キュマイラ/オルクスのトライブリード。   ・秋月玲央奈について  <情報:噂話>6  運動神経抜群、勉強の方はちょっと苦手なスポーツ少女。  体育会系の部活からスカウトを受けているが「バイトがあるから」と断っている。  PC1に特別な関心を抱いているものの、話し掛けるのは下校の時だけであった。   ・秋月玲央奈についてA <情報:UGN>8  生活態度に問題は見られなかったが、人に相談できない何かを抱えていた様子である。  過去にFHエージェントの春日恭二と接触していた模様。   トリガーイベント ◆シーン5:襲撃! シーンプレイヤー:PC1 [条件] すべての情報が開示された。 [解説] 事件解決に向けて調査を進めているところ、UGN側の動きを察知した春日恭二らが襲撃してくる。 時刻は夜、場所は路地裏。春日恭二1体とFHエージェント2体と戦闘になる。 [描写] 調査結果の報告が終わりUGNのアジトを出た頃にはすっかり夜空になっていた。 帰宅を急いでいると、突然、周囲から人の気配が消える。《ワーディング》が展開されたようだ。 キミの前方から数人の手下を連れた神経質そうな男が現れる。 [セリフ] 春日恭二「UGNだな?どうやらコソコソと嗅ぎまわっているようじゃないか」 春日恭二「我々のプランの邪魔はさせん。薄汚いネズミ共にはここで消えてもらう」 春日恭二「俺はFHのエリートエージェント"ディアボロス"。出逢ってしまった不運を呪うがいい」 [ミドル戦闘] ▼戦闘配置  (PT)-10m-(春日恭二、FHエージェント×2) ▼エネミーデータ ◆"ディアボロス"春日恭二  ブリード:トライブリード  シンドローム:キュマイラ/エグザイル/ブラム=ストーカー  肉体:6 <白兵>4,<回避>3 感覚:2 <知覚>3  精神:8 <RC>4,<意志>3  社会:2 <情報:裏社会>1  HP:40 行動値:12 装甲:5 侵蝕率:120%(ダイス+3個,エフェクトレベル+1)    装備    技能  命中  攻撃力  ガード値  射程 ・破壊の爪  <白兵>   -    9     1    至近  取得エフェクト(侵蝕率ボーナス適用済み)  《コンセントレイト:キュマイラ》3,《獣の力》2,《破壊の爪》2,《ハンティングスタイル》2,《オールレンジ》2,《渇きの主》2  コンボ ▽不屈の一撃(《コンセントレイト:キュマイラ》+《獣の力》+《オールレンジ》+《渇きの主》) タイミング:メジャーアクション 技能:白兵 ダイス:12 クリティカル値:7 難易度:対決 対象:単体 射程:至近 攻撃力:+14   解説:《破壊の爪》による白兵攻撃。装甲値を無視してダメージを与える。命中時に自身のHPを8回復する。 ◆FHエージェント  種別:トループ ブリード:クロスブリード  シンドローム:ハヌマーン/ブラックドッグ  肉体:3 <回避>1 感覚:3 <射撃>2  精神:2  社会:1  HP:20 行動値:8 装甲:1 侵蝕率:100%(ダイス+3個,エフェクトレベル+1)    装備    技能  命中  攻撃力  ガード値  射程 ・大型拳銃  <射撃>  -2    5     -     20m  取得エフェクト(侵蝕率ボーナス適用済み)  《音速攻撃》2,《スタンボルト》2,《瞬間退場》2 ▼戦闘プラン  FHエージェントはPC1とPC2を別々に攻撃し《スタンボルト》でそれぞれにバッドステータス「放心」を与えようとする。  春日恭二は《ハンティングスタイル》でPC達に接近しランダムに1体を攻撃する。  春日恭二が倒された時、FHエージェント達がまだ残っていれば形勢不利と見て《瞬間退場》で退場する。 [セリフ2] 春日恭二「な、なんだこの力は……ぐわーッ!!」(倒される) (秋月玲央奈について春日に質問した) 春日恭二「秋月……?そうか、貴様が報告のあった例の……」 春日恭二「フフフ、そう焦らなくてもいい。近いうちにまた会えるだろう」 春日恭二「その時を楽しみに待つのだな。ククク……ハハハハ……!!」(動かなくなる) [結末] 戦闘に勝利したらUGNの処理班がやってきて後始末をしてくれる。シーンを終了する。 ◆シーン6:Who is she? シーンプレイヤー:PC2 [条件] シーン5が終了する。 [解説] 春日恭二の襲撃を受けた翌日、霧谷雄吾からPC2に秋月玲央奈に関する次の新しい情報がもたらされる。 ・秋月玲央奈はPC1と出会う半年前に心臓の病で死亡していること ・秋月玲央奈が"ジャバウォック"である可能性が極めて高いこと 霧谷から彼女の行方を探すようオーダーを受けた後、PC1のスマホに秋月からメッセージが入る。 [描写] 騒がしい教室の昼休み。秋月の席はまだ空席のままだ。 あの日から猟奇殺人事件は起きていないが登校してこない彼女にクラスメイト達も不安を隠せなくなってきている。 あちこちにできるグループから距離をとっていると、キミのスマホにメッセージが入る。 [セリフ] 霧谷雄吾『お疲れさまです、PC2さん。秋月玲央奈に関する重要な情報が入りました』 霧谷雄吾『直ちに、支部まで来て下さい。PC1さんについては貴方の判断にお任せします』 [解説2] PC2は学校を早退してUGN支部に向かう。霧谷からのメッセージではPC2の判断に任せるとあるがPC1は自分の意思で同行してよい。 [描写2] UGN日本支部―― 支部長室では霧谷雄吾がキミたちの到着を待っていた。 [セリフ2] 霧谷雄吾「お待ちしておりました。緊急の用件ですからご容赦下さい」 霧谷雄吾「さて、早速本題に入りましょう。貴方達が入手した情報のおかげで"ジャバウォック"と秋月玲央奈に関して何らかの関係性が見いだせました」 霧谷雄吾「その後、日本支部の情報班に追加調査を行わせたところ、重要な事実が判明したのです」 霧谷雄吾「秋月玲央奈……彼女は半年前に心臓の病のために死亡しています。彼女は生まれつき心臓が弱く、幼少の頃から入退院を繰り返していたようです」 霧谷雄吾「100万人に1人がかかる難病だったようです。遺体は研究のために大学病院で保管されておりましたが、数週間前に春日恭二に奪われています」 霧谷雄吾「"ジャバウォック"の出現はその直後です。これらが意味するのは……秋月玲央奈が"ジャバウォック"である可能性が高いということです」 霧谷雄吾「別ルートからの情報では"ジャバウォック"は命令違反のため独房に入れられていたようです。しかし昨夜解放されたとのこと」 霧谷雄吾「再び凄惨な事件が起こされるのは火を見るよりも明らかです。大至急、秋月玲央奈の行方を追って下さい」 [解説3] その後、PC達は支部を出る。時間に余裕があればここで場を盛り上げるためPLの協力を得てちょっとしたシーンを演出してもよい。例えば次のように ・決戦を前にPC2がPC1に秋月玲央奈を手にかける覚悟を問う。あるいはPC2がPC1を「もうこれ以上は付き合わなくていい」と突き放そうとする ・PC1が秋月玲央奈と帰り道にかわした会話の数々を思い出して戸惑う(もちろんPLにとっては存在しない記憶になるので自由に生やす) ・PC2が退室した後、PC1が霧谷に秋月玲央奈を助ける方法について質問する。霧谷は悲しそうに「彼女はジャーム化しており現状では治す方法はありません」と答える。 ・PC1が覚醒した時に見た悪夢を思い出し、自分自身が怪物になってしまうかもしれない可能性に恐怖する。 [結末] 秋月玲央奈の行方を追ったらシーンを終了する。 ◆シーン7:揺れ動く心 シーンプレイヤー:PC1 [条件] 秋月玲央奈の行方を追う。 [解説] 独房から解放された秋月玲央奈の行方を追うシーン。彼女を見つけるには<知覚>または<情報:噂話>で難易度8の判定に成功しなくてはならない。 登場したPCは1回だけ判定を試みることができる。全員が失敗した時はもう1度判定するシーンとなり侵蝕率を上昇させる。このシーンは判定が成功するまで繰り返す。 [描写] キミ達はN市内を駆けまわっている。再び誰かが犠牲になる前になんとしてでも彼女を止めなければならない。 [解説2] 判定に成功したら、廃ビル群の一角で秋月玲央奈と再会する。 彼女は自分がジャバウォックであることを否定しない。既にジャーム化しているため殺人を悪いとも思っていない。 そして、彼女はPC1に同じ仲間になれと誘う。 [描写2] 彼女の目撃情報を集めていくと、「繁華街の東にある廃ビル群で彼女らしき少女の姿を見かけた」という有力情報を得た。 廃ビル群まで足を伸ばして人気のない殺伐としたコンクリートのジャングルを探していると、突然、ビルの上からキミたち目掛けて鉄骨が降って来た。 ビルの上に視線を向けると、そこには制服姿の秋月玲央奈がいた。 [セリフ] 秋月玲央奈「うんうん、期待通りPC1も"こちら側"に来れたようだね。サプライズ大成功!あーんど、おめでとう!」 秋月玲央奈「本当はすぐにでも会いに行ってお祝いしたかったけど……ちょっと色々と事情があってね。えへへ」 秋月玲央奈「キミには知ってもらいたかったんだ。本当の世界と本当の私を。だからαトランス剤を爪に仕込んでキミを覚醒させたの。後で物凄く怒られたけどね」 秋月玲央奈「怪物になったからって心配しなくていいよ。既に人類の7割以上がレネゲイドウィルスに感染してるの。いずれみんな私達のようになるのよ」 秋月玲央奈「事件のことならあれはただの"食事"よ。人間が家畜を殺して食べているように私が人間を食べているだけのこと。そこに違いはないでしょ?」 秋月玲央奈「テストに協力するだけで次々に食事の機会を与えてもらえるの。私も助かるしFHも助かる。Win-Winの関係よ」 秋月玲央奈「悪し様に言う人もいるけどFHは私達のような人達のための世界を創ろうと日々活動しているのよ。私も丈夫な体を貰ったわ」 秋月玲央奈「ねえ、キミもこっちにおいでよ。嘘で塗り固めた日常を守り続けて空虚な一生を送るより、真実に向き合って生きていく方がずっといいと思わない?」 (PC1が勧誘を断る) 秋月玲央奈「……おかしいな?ここでキミが断るなんて」 秋月玲央奈「そっか、まだキミは人間のつもりでいるんだね。だから私の言葉が届かないんだ」 秋月玲央奈「わからせてあげるよ。キミも私と同じ正真正銘の怪物なんだってね!!」 [結末] 秋月玲央奈は咆哮をあげてビルの上から地上に降り立つ。クライマックスフェイズに移行する。 †クライマックスフェイズ† ◆シーン8:もう何処にもいない君のために [解説] 全員登場。夕暮れ時のPC達の他には誰もいない廃ビル群の一角で"ジャバウォック"と決着をつける。 難易度8の衝動判定を行い戦闘を開始する。 [描写] あの日と同じ色の空の下、あの時のように少年と少女が出会う。もう戻れない日常の光景が脳裏に浮かぶ。 少女を起点として殺意の籠った《ワーディング》が展開される。体内のレネゲイドウィルスが激しく反応する。 (衝動判定を行う) [セリフ] ジャバウォック「始めようか。裏切り者(ダブルクロス)の舞踏会を」 [クライマックス戦闘] ▼戦闘配置  (PT)-5m-("ジャバウォック") ▼エネミーデータ ◆"ジャバウォック"秋月玲央奈  ブリード:トライブリード  シンドローム:バロール/キュマイラ/オルクス  肉体:6 <白兵>4,<回避>3 感覚:4 <知覚>4  精神:4 <意志>3  社会:4 <情報:裏社会>2  HP:96 行動値:12 装甲:5 侵蝕率:150%(ダイス+4個,エフェクトレベル+1)    装備    技能  命中  攻撃力  ガード値  射程 ・破壊の爪  <白兵>   -    10     1    至近  取得エフェクト(侵蝕率ボーナス適用済み)  《コンセントレイト:バロール》3,《巨人の斧》3,《瞬速の刃》3,《斥力跳躍》3,《飛礫》3,《破壊の爪》3,《完全獣化》3,《形なき剣》3,《要の陣形》3  《生命増強》2,《状態復元》2,《加速する刻》2,《蘇生復活》2(1ラウンド目限定)  コンボ ▽限りなく純粋な殺意の爪(《コンセントレイト:バロール》+《瞬速の刃》+《巨人の斧》+《形なき剣》) タイミング:メジャーアクション 技能:白兵 ダイス:16 クリティカル値:7 難易度:対決 対象:単体 射程:至近 攻撃力:+19   解説:《破壊の爪》による変幻自在の白兵攻撃。ドッジダイス-3個  ▽哀れな者達へ与える鉄槌(《コンセントレイト:バロール》+《瞬速の刃》+《巨人の斧》+《飛礫》+《形なき剣》+《要の陣形》) タイミング:メジャーアクション 技能:白兵 ダイス:16 クリティカル値:7 難易度:対決 対象:3体  射程:20m  攻撃力:+13   解説:重力を操り周囲の鉄骨を引き寄せて3体に投げつける。ドッジダイス-3個 ▼戦闘プラン  ジャバウォックはラウンド毎の最初のイニシアチブプロセスに《加速する刻》を使い行動する。  1ラウンド目の最初の行動はマイナーアクションで《破壊の爪》と《完全獣化》を使い、▽哀れな者達へ与える鉄槌でPC達を攻撃する。  次の行動ではマイナーアクションで《斥力跳躍》を使ってPCの1人に接近して▽限りなく純粋な殺意の爪で攻撃する。  以降、上記の行動を繰り返す。HPが0になった時、それが1ラウンド目であれば《蘇生復活》でHP1の状態で復活する。 [セリフ2] (PC1に)ジャバウォック「早く認めてよ、キミも私と同じ怪物なんだってことを。人間にはそんな真似できっこないでしょ?」 (PC2に)ジャバウォック「貴方だって同じ怪物でしょ?どうしてまだ人間の真似事を続けて私達の邪魔をするのかな?」 (倒される) 秋月玲央奈「あれ……?どうしてこうなっちゃったんだっけ……?」 秋月玲央奈「私はただ、キミと仲良くなりたかっただけなのに……」(動かなくなる) [結末] ジャバウォックが倒されるとUGNの処理班がやってくる。突然降り始めた雨に打たれながらPC達は日常へと帰還する。 エンディングフェイズへ。 †エンディングフェイズ† バックトラックを行い、エンディングに移る。エンディグはシナリオの結果やPCの設定にあわせて演出する。 次にエンディングシーンの例を挙げる。 ◆シーン9:そして、新しい日常が始まる [解説] PC1とPC2の共通エンディングとなる。場所は学校の屋上。霧谷から事件の後処理についてメッセージが届く。 それから、2人で会話を交わす。 [描写] 学校から秋月玲央奈がいなくなって1週間が経った。殺人事件も起きなくなり街は平穏を取り戻しつつある。 UGNの情報操作によって彼女は心臓の病が再発してしまい、治療のために海外の医療機関に入院したことになった。 真実を知っているのはキミたちだけだ。屋上から街並みを見下ろしていると、スマホに霧谷からのメッセージが入る。 [セリフ] 霧谷雄吾『先ほどすべての案件が片付きました。これも貴方達の活躍のおかげです』 霧谷雄吾『秋月玲央奈は冷凍処理されました。彼女はジャームを人間に戻す治療法が見つかるまで眠り続けます』 霧谷雄吾『PC1さんは彼女にとって大切な人だったのでしょう。ですが、ジャーム化によって正常な関係を構築できなくなった』 霧谷雄吾『日常を失うとはそういうことです』 [結末] PC1とPC2がこれからについて会話をかわしてからシーンを終える。 †アフタープレイ† エンディングが終了したら、ルールブック1の211pを参照しながら経験点を配布する。 今シナリオの「シナリオの目的を達成した」は5点である。 ============================================================================================================================ ■シナリオの改造について 1 上級ルールやサプリを導入する場合  基本のみの環境と比べると総合的にPCが強化されるため、エネミーを少しだけ強化します。 ・春日恭二の取得エフェクトに《イージスの盾》SL2を追加します。 ・ジャバウォックにEロイス《堕落の誘い》と《飢えたる魂》を追加し、《生命増強》を1レベル伸ばしてHPを126にします。  《飢えたる魂》は死亡させた対象が取得しているエフェクトを同じレベルで取得でき、永久に使用できる効果があるため、  PCの強さにあわせて必要なエフェクトを積んでバランスを調整してください。 2 PCの人数を増やす場合  3人目以降を追加する場合は新しく事件に関わりやすい導入を用意してあげてください。例を挙げます。 ・PCはR担所属の警察官である。猟奇殺人事件を追っていたところ、強力なジャームによる犯行であることが判明したため、  谷修成のコネを通じてUGNに事件解決への協力を求めに行くことになった。 ・PCはPC1と同じ学校に通う学生または学校の教師でUGNイリーガルである。PCの妹は小学生の頃に秋月玲央奈の友人だったが  久しぶりに再会した友人から強烈な違和感を覚える。妹から秋月について調べるよう頼まれたPCが秋月について調べていると  突然、FHエージェント達の襲撃を受ける。 ・PCは神城グループ所属の研究員である。開発中のレネゲイドウィルスを利用した生体型人工知能のサンプルを春日恭二に  奪われてしまった。その後、FHは盗んだ技術を悪用して新しい生物兵器を開発、N市内で実戦テストを行っているらしい。  PCは神城早月からサンプルの回収を命じられる。  新しい導入に登場するNPCはOPしか出番がありませんのでミドルフェイズ中に少しでも出せる場面を用意するといいでしょう。  また、戦闘のバランスについても次のように調整します。 ・PCが1人増える毎にミドル戦闘で登場するFHエージェントが1体増えます。 ・PCが1人増える毎にジャバウォックの《生命増強》が1レベル、または、ジャバウォックの装甲が5増加します。 ・PCが4人以上になった場合、ジャバウォックに《虚無の城壁》SL2と《黒星粉砕》SL4を追加します。 3 秋月玲央奈を救いたい場合  秋月玲央奈にEロイス《ファイトクラブ》と《獣の魂》SL3を追加します。これが彼女に移植された生体型の人工知能であり、  ジャバウォックとなったジャーム化した人格です。PC1が秋月玲央奈とのロイスを維持した状態でジャバウォックを戦闘不能に  すれば、ジャバウォックの本体は彼女の体内から逃れて《獣の魂》により復活します。これを倒せば彼女は正気に戻ります。  シーン6の後にこの事について調査できるシーンを追加するとスムーズな形でクライマックスまで持っていけるでしょう。  なお、元のシナリオはヒロインがジャーム化していることを明示するために人間もぐもぐさせていてますが、ビジュアル的に  カニバリズムはちょっとなあという方は秋月玲央奈の衝動を吸血あたりに変更するといいでしょう。少しマイルドになります。 4 PC1が秋月玲央奈の誘いに乗ってしまった場合  PC1はエネミー側として行動します。そしてPC側に"シルクスパイダー"玉野椿(上級89p)を援軍として追加登場させます。  PC側はクリナッププロセス毎に『逃亡』を試みることができます。<運動>で難易度10の判定に成功すればシーンから退場できます。  エネミー側が全滅するか、PC側のPC全員がシーンから退場すればクライマックス戦闘は終了となります。  エンディングはそれまでの流れを踏まえながら演出してください(PC1がFHに迎えられる、離脱したPC2がPC1打倒を誓う、など)。